楽しい時間はいつもあっという間に過ぎて

面白くないと思う授業の時間は苦痛なほど長くて

でも、 その授業を終えたらまた楽しい時間が来る

そう思うと苦痛な授業も耐えられる

これもあの二人の存在のおかげかな?







授業の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響いて

一斉に辺りが騒がしくなる

授業道具をいそいそと片付けて

いつもの指定席へと直行する



「ふ〜じっ!ついでに英二!」

「ついでにって酷でぇ!!」

「ふふ。相変わらずだね。」



何気ない会話

ふざけあえる空間

凄く心地いい・・・



「ねぇねぇ!今日はどこでお弁当食べる?」

「教室でいいんじゃない?」

「あ!俺、屋上がいい!」



ハイハイ!と手を挙げながら意見を述べる英二

こういうところ凄くかわいいと思う



「そうだね・・・今日は天気もいいことだし。」

「うん。そうだね。じゃ英二の意見を尊重してあげましょう。」

「何でそんなに偉そうなの〜!」

「え〜・・・だって・・・ねぇ?」



意地の悪い笑みを浮かべながら不二に同意を求めてみる

不二もあたしに同意してくれるかのように

英二に向かって



「英二は僕らのペットみたいなもんだしね?」



なんて言うから英二がふざけて猫の物真似を始める

こんな何気ない日常が凄く好き

きっとそう思えるのは

この二人が傍にいてくれるから・・・






― キーン コーン カーン コーン ―






「あ、チャイム鳴っちゃった!じゃ後でね!」



そう告げると慌てて自分の席へと戻る

お弁当をあのふたりと食べる

そんな小さな口約束が

退屈な授業をも短く感じさせてくれる























長く短いような授業を終え

それぞれが思い思いの場所へと散らばってゆく

あたしは真っ先にお弁当を持って

ふたりの場所へと急ぐ

いくら口約束をしたといっても

校内ではかなりモテル彼らのこと

急いで姿を隠さないとあっという間に女の子に取り囲まれてしまう



「英二!不二!屋上まで競争ね!」



彼らの前を走りながら声をかけて通り過ぎる



「あ、ずっり〜!」



地団駄を踏むような英二の行動を見て

おかしそうに笑みをこぼす不二の姿を後ろ目でチラリと盗みみながら

あたしは屋上へと駆けて行った














当然のことながらふたりよりも早く着いたあたしは

適当な場所を見つけてすっと座り込む

降り注ぐ太陽の光が眩しくて

だけど温かくて

なんだか眠くなりそうな気配・・・



「早く来ないかな〜・・・それとも女子に捕まっちゃったのかな?」



余計な心配をしながらも小さな嫉妬心を抱いてしまう

これは何だろう?

お気に入りのおもちゃを取られたような

そんな気分・・・


どっちかに恋をしている・・・


そんな感覚とはまた違う感覚・・・



「おっまたせ〜!」

「ごめんね?待った?」



何やら色々と抱えて現れたふたり

何があったのか予想はつく



「何〜?捕まっちゃったの?」

「そうそう。が俺らを置いてっちゃうから捕まったにゃ〜」

「クス・・・のせいじゃないでしょ?」



何だろう・・・

ふたりの会話を聞いてるとムカムカする

自分以外の女の子の話をされるのが

凄く嫌・・・



「およ?顔色悪くない?」

「そういわれて見れば・・・」



ふたり同時にあたしの顔を覗き込んできて

妙に騒ぐあたしの心臓



「ありゃ?今度は赤くなった?」

・・・おもしろいね。何、百面相してるの?」



よく見ればふたりとも本当にかっこいい顔立ちで

今までそんなこと意識したことなんてなかったのに

何で今になってこんなにも意識しちゃってるんだろ・・・



?」

「どしたん??」



ちらっと盗み見た二人の顔はあたしを心配してくれていて

なんだか優越感を覚える



「何でもないよ!!ご飯食べよっ?」



いそいそとお弁当を開いて

この心臓の乱れを悟られないように平然を装う

だって・・・

もし気づかれちゃったら

もう

こうしてふたりとは一緒にいれなくなる

そんな気がするから・・・



「今度は悲しそうな顔をしてるね。どうしたの?」



優しい笑みをあたしに向けて心配そうに問いかけてくれる

ファンの子たちには悪いけど

たまらなく嬉しい・・・



〜?本当に大丈夫なの?」



英二にも心配されてるなんて

きっとあたしは今凄く幸せな女だと思う



「大丈夫だって!」



ちょっとドキドキしただけ・・・

ふたりには聞こえないように呟いたはずだった



「へぇ・・・でもドキドキするんだ?」

「誰?どっちにドキドキしたの!?」



不適な笑みを浮かべる不二と

何故か嬉しそうな英二の表情

あぁ・・・聞こえてたのね・・・(涙)



「・・・・ふたりにだよ。」



悔しいけど正直に答える

隠してもしかたないことだし

この場所にはあたしを含めて3人しかいないんだしね



「ねぇ。イイコト教えてあげようか?」



何かをたくらんでるような不二の笑顔に

少しビクビクしながらコクリと頷く


「僕ね・・・が好きなんだ。」



耳もとでこっそりそう告げられる

途端にあたしの体全体が熱くなる

不二の表情を見ている余裕もないくらい

凄く動揺してる・・・



「あ〜!!不二抜け駆けしたっしょ!!」



そんなあたしを余所目に

英二が地団駄を踏んで不二に何か抗議している



「聞き捨てならないな〜。僕は抜け駆けなんてしてないよ?」

「うっそだ〜!!」

「だって英二の前で告白したわけだしね?」

「んにゃ!?」

「英二もすれば?」



あたしを放っておいて勝手に繰り広げられる会話に

頭がクラクラとした



「あの〜・・・二人は一体何を言い争ってるのかな〜・・・」



恐る恐る二人に伺ってみる

怖いくらい睨みつけられるあたし・・・



「にゃ〜!!俺もやっぱ告ることにする!」



自分の頭をワシャワシャを掻き乱しながらあたしのもとへと

ずかずかと歩み寄ってくる



!俺はが好きだ!!」



あたしの手をとって握り締めながらそう告げてくる

あたしはどう答えればいいわけ??



「あの・・・あたしは・・・その・・・」



好きだといわれてもあたしにはその答えは出せない

視線をキョロキョロと動かしながら色々と答えを探すけど

頭はパニックで何も見えてこない・・・



・・・僕たちはにどうこうして欲しいわけじゃないからね?」

「そうそう。ただ俺たちの気持ちを知ってて欲しいだけだよん!」



そう告げられても

やっぱりこの先、答えをださないわけにはいかない気がした



「あたし・・・どっちが好きなんて選べないかもしれないよ?」



友達以上に意識なんてしたことはなかった

だけど・・・

ふたりが他の女の子たちに囲まれるのを面白くないと思う自分がいる

これって恋なのかな?





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